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探偵は、浮気の証拠を手に入れるために、尾行や張り込みをします。そして、証拠写真や映像を隠し撮りするのです。
この行為は、のぞきやつきまといなどの軽犯罪法違反とならないのでしょうか。
文字通り軽い犯罪が「軽犯罪法違反」
軽犯罪法では、33の行為が罪として定められています。
外で立ち小便をしたり、理由無く十徳ナイフなどの刃物を持ち歩いたり、ゴミをポイ捨てしたりするのも軽犯罪法違反となります。
その中に「のぞき」と「つきまとい」もあります。
刑罰は、「拘留または科料」です。
科料:1,000円~9,999円の金銭の徴収
まともな探偵は「のぞき」をしない
のぞきの定義
正当な理由がなくて人の住居、浴場、更衣場、便所その他人が通常衣服をつけないでいるような場所をひそかにのぞき見た者
浮気調査では、「不貞行為」=「性行為」を証明する必要があります。
浮気現場の撮影が目的だったとしても、窓のすき間などから室内をのぞき見ることはできません。
ベッドシーンを撮影しようと、他人の室内を盗撮するのは、明らかな違法行為です。
道を歩いていて家の中が偶然見えたというレベルなら、ある程度は許容範囲内と思われます。ですが、カーテンを開けて外に見えるように行為を行うなんてことは、まずありませんよね。
他に、のぞきとならずに行為そのものを撮影できるのは、野外で行為に及んでいた場合です。この場合は、のぞきになりません。
むしろ野外プレイをしていた方が公然わいせつ罪になります。
自宅に隠しカメラを設置したら、決定的なシーンが撮影できたということもあります。
ただし、撮影データの取り扱いによっては、プライバシーの侵害などに問われる可能性があるので注意です。裁判などでは、他に証拠を用意した方がいいかもしれません。
また、浮気相手の家へ監視カメラや盗聴器を設置しようと侵入するのはNGです。住居侵入罪となります。
そもそも、行為中の写真は必要ない
肉体関係があったと類推できる証拠があれば、裁判でも不貞行為があったと認められます。
例えば、ラブホテルへ2人で出入りする写真や、浮気相手の部屋へ複数回出入りする写真です。
探偵が狙うのもそういった写真や映像です。そのため、通常「のぞき」となる行為は行わないのです。
のぞきに該当するような、室内の盗撮を提案してくる探偵には依頼しないようにしましょう。
離婚裁判になったときに、相手から指摘されたり、逆に訴えられたりする可能性があります。
バレなければ「つきまとい」にならない
つきまといの定義
他人の進路に立ちふさがって、若しくはその身辺に群がって立ち退こうとせず、又は不安若しくは迷惑を覚えさせるような仕方で他人につきまとった者
探偵の尾行は、通常はつきまとい行為に該当しません。そもそも気づかれないようにするからです。
ただし、相手に気づかれた場合は、「不安もしくは迷惑を覚えさせる」ことになるため、つきまとい行為と判断される可能性があります。
実際に罪に問われるのはよっぽど悪質な場合のみで、正当な理由があれば、通常は問題ないと判断されるでしょう。
行政処分を受けた例
2012年に「違法なつきまとい行為をした」として、ある探偵社が大阪府公安委員会から再発防止などを指示した行政処分を受けました。
探偵業法第六条の「人の生活の平穏を害する等個人の権利利益を侵害することがないようにしなければならない。」に違反するという理由です。
これに対して探偵社側が、大阪府公安委員会を相手取り、尾行の是非をめぐる行政訴訟を大阪地裁に起こしました。
尾行が「つきまとい行為」だと認定されれば、安心して探偵として営業することはできません。2年あまり法廷で争われましたが、結局、府警の保安課は、「処分自体が不適切だという認識は今もない」としながらも、「瑕疵(かし)があった」として行政処分を取り消しました。
簡単に言えば、「処分は間違いじゃないけど、書類に不備があったから取り消すね」ということです。このままでは問題が大きくなってしまうと考えての判断でしょう。
この場合は最終的には処分が取り消されましたが、尾行がみつかったときの調査員の行動によっては、探偵業法違反となる可能性があるということです。
そもそも「バレた」段階で、調査は完全に失敗です。その後は警戒されるため、証拠を得るのも難しくなってしまいます。
1人で尾行するような探偵は、相手にみつかる可能性も高くなります。失敗したくなければ、十分な調査員の数を準備できる探偵に依頼することです。
軽犯罪とは言え、法律を軽く考えている探偵に依頼しないように注意しましょう。