別居後に夫が浮気!不貞行為の証拠と慰謝料請求などの流れ

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別居してから夫の浮気が発覚した場合、慰謝料を請求できる場合とできない場合とがあります。
「離婚を前提とした別居だったのか」と、「愛人との交際開始の時期がいつなのか」が問題となります。

必要になる不貞行為の証拠も、一般的な浮気とは微妙に違ってきます。

夫婦関係が破綻していれば慰謝料請求できない

婚姻関係の破綻

すでに壊れているものは、それ以上壊すことはできません

慰謝料とは、受けた損害に対して請求するものです。
浮気によって夫婦関係が壊されたことに対しての損害賠償請求です。

夫婦がすでに離婚しているも同然の状況では、損害自体が発生しません。
そのため、婚姻関係が破綻している中で夫が不倫をしても慰謝料請求は認められないのです。

別居は多くの場合破綻と判断される

婚姻関係の破綻とは、夫婦が結婚生活を続ける意思を持たず、客観的に見ても修復の見込みが無い状態のことです。
裁判になった場合には、別居の有無や離婚の協議をしていたかなどが破綻していたかどうかの大きな判断基準となります。

離婚を前提に別居していた場合は、婚姻関係が破綻していたと認定される可能性が高いです。

別居状態でも破綻ではないことも

もちろん必ずしも「別々に住んでいる=婚姻関係の破綻」とはなりません。

一番分かりやすいのが、単身赴任です。
他にも、最近では週末婚や別居婚などもありますよね。
夫婦がともに別れる意志がなければ、破綻とはなりません。

どちらかに離婚の意思がある場合は、家計を同一としているか、夫婦としての時間をとっているかなどで判断されます。
最初は普通の単身赴任でも、音信不通で連絡なしの状態なら婚姻関係が破綻していると判断されることもあります。

一緒に暮らしていても、生活費はそれぞれ、ほとんど顔を合わせることもなく寝室も別々といった状況もありますよね。
そういった家庭内別居が長期間続いている場合は、婚姻関係が破綻していると判定されることもあります。

(参考:同居でも婚姻関係の破綻になるの?夫婦円満の証拠は?

夫婦として生活していた証拠を用意しよう

慰謝料を請求するには、別居中も夫婦関係が保たれていたと主張する必要があります。
法律上では、愛しているかどうかといった感情は関係ありません。

メールなどによるやりとりや、一緒の外出や食事、家族での旅行、夫婦で参加した冠婚葬祭などの様子を記した日記や写真などがあるといいでしょう。
メールで親密なやりとりをしていたり、たまに家に帰ってきて食事をしていたなどの事実が証明できれば、夫婦生活が破綻していない証拠となります。

夫が勝手に出て行った場合は「悪意の遺棄」

両者が合意しての別居ではなく、夫が家を飛び出した場合もあるでしょう。
夫婦にはお互いに協力して助け合う義務があります。
自分勝手に正当な理由もなく家を出たり、生活費を渡さないなどは裁判上の離婚原因である「悪意の遺棄(民法770条1項2号)」に当たります。

「悪意の遺棄」だと認定されれば、たとえ浮気をしていなくても夫へ慰謝料を請求して離婚することができます。
ただし、家を出た夫を放置して夫婦関係を修復しようとしなければ、別居に合意していたと見なされる可能性もあります。

部屋への出入りだけでは証拠として弱い

部屋に入る男女

自宅はラブホテルよりも証拠として弱い

ラブホテルに出入りする写真があれば、肉体関係があるのは明らかです。

ですが別居している場合、浮気の現場は自宅となることも多いです。
そうなると、写真の撮影が成功しても、部屋へ出入りするシーンしか撮れないでしょう。

それだけでは一概に肉体関係があったと言い切るのは難しいです。
実際に異性の友人を家に呼ぶ人もいます。

不貞の証拠として必要になるポイントは次の通りです。

滞在時間と回数

夫の部屋に女性が1回来て10分程度で帰ったとしたら、とても肉体関係があったとは言えませんよね。

何分以上が何回といった基準があるわけではないのですが、滞在時間が長くて回数が多い方が不貞行為と認定される可能性が高くなります。
裁判官によっても判断が変わりますが、2時間以上で複数回の証拠があるといいでしょう。

ということは、少なくとも部屋へ入るときの写真と部屋を出るときの写真が必要です。
複数回の証拠を得るには、何度も長時間張り込まなくてはならないでしょう。

部屋に泊まった場合は、数時間の滞在よりも有力な証拠となります。
別居をいいことに、愛人と同棲を始める夫もいます。

デートなどの状況証拠

部屋への出入り以外に、2人が恋愛関係であるという状況証拠があると不貞行為があったと判断されやすくなります。
カップルが行くようなお店へ2人で行ったり、腕を組んで道を歩いていたり、車の中でキスをしていたりといった様子の写真や動画などです。

浮気相手と夫のメールやLINEも2人の関係を示す状況証拠となりますが、別居している場合は入手が難しいでしょう。
なので、証拠がたくさん必要な別居の場合は探偵へ浮気調査の依頼をするのが現実的です。

結局どうなる?実際の流れをいくつか紹介

計算機

いくつかの選択肢があります

別居後の夫の不倫発覚後の流れについて、いくつかのパターンを紹介します。

どちらかの離婚の意思が強ければ、夫婦としてやり直すのは不可能に近いです。
多くの場合、「とにかく離婚したい夫」VS「有利な条件を引き出したい妻」との闘いになります。

反省させたいといった気持ちもあるかもしれませんが、現実的には慰謝料や和解金などの金額で争うことになります。

夫婦としてやり直す

夫が勝手に家を出て行き浮気をしたような状況では、夫婦としてやり直すのはかなり難しいでしょう。
別居後すぐ浮気相手と同棲したような場合は、離婚の強い決意があると考えられます。

ただ、夫が浮気相手に逃げられた場合は話が別です。
「やっぱりお前しかいない」などと言って戻ってくるでしょう。

浮気相手に「すぐに別れるなら慰謝料を請求しない」といった条件を突きつけるのもひとつの方法です。
もしこのまま夫と付き合い続けて最終的に結婚できたとしても、財産分与や慰謝料、養育費などで貧乏な生活になることを教えてあげると良いでしょう。

再構築を選ぶ場合は、仲直りするにしても必ず念書や謝罪文などで浮気の証拠を残しておきましょう。

(参考:証拠が「夫の浮気の自白」だけで離婚や慰謝料請求はできる?

証拠があれば、復縁後にやっぱり離婚したいとなったときにも夫側に慰謝料を請求することができます。

夫と浮気相手に慰謝料を請求して離婚

こちらから内容証明郵便などで慰謝料を請求して、相手が認めた場合です。
夫婦ともに離婚したいという状況では、慰謝料や財産分与、養育費などの条件面での話し合いとなるでしょう。
十分な証拠があれば、ある程度強気の交渉が可能です。

離婚せずに婚姻費用を受け取り続ける

あなたが専業主婦だったり、共働きでも夫の収入の方が多い場合にしばしば取られる戦略です。

たとえ別居していて破綻状態でも、夫婦には生活費を分担する義務があります。
家にお金を入れてくれない場合でも、家庭裁判所へ婚姻費用の審判を申請すれば夫の収入によって機械的に金額が決定されます。
婚姻費用の支払い命令が出れば、支払いが滞ったときに給与の差し押さえなどが可能になります。

(参考:養育費・婚姻費用算定表

この毎月生活費をもらえる状態を長く維持しようとするのも、自分や子どもの生活を守るための手段です。
あなたが婚姻を継続したいと主張すれば、基本的に有責配偶者である夫からの離婚請求は認められません。

逆にあなたの方が収入が多ければ、婚姻費用を請求されることもあります。
ただし、有責配偶者への支払いは減額となることが多く、支払わなくて良いとした判例も存在します。

また、もしも本当に婚姻関係が破綻してから付き合い出した場合でもこの作戦は有効です。
調停や裁判を続ければ2~3年はかかります。その間婚姻費用を受け取り続けることができますし、夫が早く離婚したいと思えば、離婚する代わりに3年分の婚姻費用を支払ってもらうことも可能でしょう。

調停や裁判になったのち和解

あなたと夫の主張が食い違って話し合いがこじれれば、まずは調停を行うことになります。
調停前置主義といって、離婚裁判をするにしてもまずは調停を行わなくてはならないからです。

調停や裁判には時間がかかりますが、この間も収入の高い方が婚姻費用を支払い続けなくてはなりません。
すぐに離婚しなくてもいいと考えているなら、できるだけ長引かせて婚姻費用をもらい続ける作戦もありえます。

婚姻費用を払い続けなくてはならない状況を「コンピ地獄」と呼びます。
コンピ地獄から抜け出したい夫は、和解金として数年分の婚姻費用を支払ってでも離婚を要求してくるでしょう。

判決まで行く前に和解となることが多いです。
夫が有責配偶者であると立証できれば、より有利な条件で離婚することができるでしょう。

有責配偶者からの離婚請求は認められないというのが常識でしたが、近年では「破綻主義」といって、破綻している状態が長期に及んでいるなら離婚を認める方向に変わってきています。
年齢や同居期間にもよりますが、有責配偶者からの離婚請求では6~10年程度の別居期間が必要です。
未成熟の子がいたり、離婚によってもう一方の配偶者が過酷な状況に置かれる場合などは認められません。

夫婦カウンセラーの資格を所有しています。探偵についての疑問や、浮気調査、夫婦関係などについてわかりやすく情報をまとめるよう心がけています。