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問い詰めて浮気を自白させたケースもあれば、後悔して自らカミングアウトしてきたケースもあるでしょう。
夫が過ちを認めて反省し、その後も償いたいと協力的なら問題は解決に向かうでしょう。
ですが実際は、一度浮気を白状しても妻の反応を見て態度を変える夫がほとんどです。
離婚や慰謝料の請求を考えた場合に、どうすればいいのかをまとめました。
口頭による自白は役に立たない
愛人のいる男性の多くは、奥さんと別れたいとは思っていません。
浮気を告白して謝罪したとしても、離婚や慰謝料などの話が出れば、その後は自分を守るために行動を切り替えるでしょう。
妻に「浮気するような人とは離婚します」と言われた夫のとる行動は次の通りです。
完全に撤回する
「そんなことは言っていない!」「その場を収めるために言わされただけだ」「あれは冗談だった」などと言われたらそれまでです。
夫婦の信頼関係を完全に壊す行為ですが、離婚されるよりはマシと考えるでしょう。
肉体関係はなかったと否定する
全撤回よりもまだ矛盾がないのが、体の関係の否定です。
「何回か食事に行ったりデートしただけ」「キスはしたが一線は越えてない」などと説明してくるでしょう。
「前は誤解させるような言い方をして悪かった」と言われれば一応の筋は通っています。
どんなに疑わしいグレーゾーンでも、他に証拠がない以上黒とは言い切れません。オフホワイトです。
浮気を認めている段階で録音や書面に残そう
自白を後から撤回できないように、記録に残しておくことが大事です。
そのためにまずは、離婚や慰謝料などの言葉はグッと胸にしまっておいてください。
「協力すれば許してもらえるかもしれない」という空気を感じさせれば上手くいくでしょう。
記録しておきたい内容
できれば次の項目について記録したいところです。
- 肉体関係があったということ
- 不倫関係の期間や頻度
- 相手の名前や住所など
法律上の離婚理由としては、肉体関係の有無が重要です。
肉体関係があったことがハッキリと分かるように記録する必要があります。
愛人に慰謝料を請求する場合は、名前や住所が必要になります。
ボイスレコーダーなどで録音する
突然カミングアウトされたときに録音するのはまず無理ですよね。
再度話し合いの場を設けて録音するのが現実的でしょう。
後から「あの声は自分じゃない」と否定される可能性もあります。
音質や録音環境が悪くて誰の声なのか分からないと問題です。
iPhoneなどのスマホの録音機能でもいいですが、音質に不安があるならボイスレコーダーを用意するといいでしょう。
とはいっても、浮気問題で声紋鑑定までするようなケースはまずありません。
このとき、無断で録音しても問題なく証拠として認められるので安心してください。
謝罪文・誓約書などの書面にして残す
本人自筆の署名、押印があれば、文書も有効な証拠となります。
事実関係を証拠として残したいだけなら、謝罪文として書いてもらえばいいでしょう。
「肉体関係を持った」という文言に抵抗があるなら「不貞行為を行った」という文章にするといいでしょう。どちらも「性行為を行った」という意味です。
夫婦として再構築のチャンスを与える場合は、念書や誓約書として、「今後はもう連絡をとらないこと」「連絡を取ったら○○万円支払うこと」などを盛り込むといいでしょう。
ただし、夫婦間での契約は一方的に取り消すことが可能なので、あくまでも精神的な約束となります。
「口約束では信用できないから一筆書いて欲しい」と言えばいいでしょう。
無理に公正証書にする必要はありません
公正証書にするべきという意見もありますが、金銭の支払いが発生しないなら法的な意味はありません。
強制執行の認諾約款付きの公正証書なら、慰謝料の支払いなどが滞ったときに給与の差し押さえなどができます。
ただし、書面の作成時に確定している金額については強制執行できますが、連絡を取ったら20万円などといった違約金については差し押さえなどはできません。
内容の修正を求められることもありますし、夫婦間での謝罪文であれば公正証書にするメリットは少ないです。
公的な書類だという精神的なプレッシャーに弱い夫なら意味はあるかもしれません。
夫と離婚するときや、不倫相手に慰謝料を請求するときに公正証書のお世話になるといいでしょう。
言い訳の防ぎ方と愛人への慰謝料請求について
いくつか気を付けることがあります。
強要されたと言わせない
書面しかないと、後から「脅されて書いたから無効だ」と言い訳してくる可能性もあります。
文書をつくるときの話し合いを録音しておくと、恐喝を否定する材料としても使えます。
録音しているのはあなただけとは限りません。
怒鳴ったり脅したりといった行為は不利になるのでやめましょう。
正式に浮気を許さない
謝罪文や誓約書によって、浮気を許したと判断されないように注意が必要です。
浮気を許すことを「不貞の宥恕(ゆうじょ)」といいます。
一度許すと、その後に慰謝料を請求するのは難しくなります。
誓約書に慰謝料を設定して受け取ってしまえば、許したと判断されるでしょう。
あくまでも証拠として事実を記録するものにしましょう。
文書のタイトルを「示談書」とするのは避けた方がいいかもしれません。
夫のみの自白で愛人への慰謝料請求は無理
相手が浮気を認めないときには、夫の自白だけでは慰謝料を支払わせるのは難しいです。
民事裁判になった場合も、証言だけでは決定的な証拠とはならず、その他の状況などを総合的に判断されます。
もし一方の証言だけで慰謝料が取れるなら、美人局(つつもたせ)のように簡単にお金をだまし取れてしまいます。
相手が浮気を否定したときには物的証拠が必要になります。
謝罪文を作るときなどに、愛人とのメール内容など証拠として使えそうなものをもらっておくといいでしょう。
珍しいケースですが、夫のスマホを見たら、ただ夫が相手の女性にストーカーしていただけだったなんてこともあり得ます。
浮気相手に慰謝料請求できるのは3年以内
すぐに離婚しない場合に気を付けないといけないのが、損害賠償請求の時効です。
浮気相手を知ってから3年間何もしなければ、請求権は消滅してしまいます。
もしくは不法行為があってから20年経っても消滅します。
夫婦の場合には時効はありません。
3年以上経ってから離婚する場合も、不貞行為についての慰謝料を夫に問題なく請求できます。
(参考:徹底解説!浮気の時効は3年?20年?)
浮気相手が既婚者の場合は慎重に
自分たちが離婚せずに、浮気相手にのみ慰謝料を請求する場合は注意が必要です。
相手が既婚者である「ダブル不倫」の場合は、愛人の旦那さんにはあなたの夫へ慰謝料を請求する権利があるからです。
慰謝料の金額としては、離婚しない場合よりも離婚する場合の方が大きくなります。
100万円請求したら、300万円請求されてしまって200万円の損なんてことになりかねません。
自白があっても探偵を雇った方がいいケース
次のような場合には、自白があったとしても探偵を雇って決定的な証拠を押さえておくことをおすすめします。
- 夫との離婚を考えている
- 浮気相手への慰謝料請求を考えている
- 録音したり書面にするのが難しい
- 夫が愛人をかばってどこの誰か言わない
- 浮気が終わった様子がない
本当に愛人ときっぱり別れている場合には、いくら探偵を雇っても新たな証拠は手に入りません。
とはいえ、一度浮気した人はまた浮気する確率が高いのも事実です。
愛人と口裏を合わせて別れたふりをしつつ、不倫を続けている可能性もあります。
怪しい行動があったら、問い詰める前に探偵を雇ってでも事実確認をしましょう。
再構築する場合も証拠は大切
浮気する男性の中には、あなたと別れて愛人と結婚しようとする人もいるでしょう。
夫が離婚を言い出したときこそ、浮気の証拠が物を言います。
離婚原因をつくった方の配偶者を、有責配偶者といいます。
有責配偶者側からの離婚申し立ては認められません。
しっかりと夫が有責配偶者であるという証拠を残しておくことが大切なんです。
自白の録音や書面を作っておけば、慰謝料をもらって離婚するか、離婚せずに再構築するのかをあなたが選ぶことができます。
証拠がなければ、「性格の不一致」として慰謝料無しで離婚するハメになるかもしれません。
自分や子どもを守るために今のうちに行動しておきましょう。
追求して白状させようとすると、決定的な証拠を手に入れるのが難しくなるのでおすすめしません。
浮気の疑いが強いなら、探偵を雇ってでも証拠を押さえてください。