違法に得た証拠は使える?夫婦間の盗聴やGPS

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証拠能力は?刑事事件においては、違法に入手された証拠は事実認定能力が否定されるので、法廷に提出できません。
離婚裁判などの民事訴訟の場合は、証拠の入手方法について明文された規定はなく、提出可能です。
ただし、どんな方法でも認められるわけでは無く、著しく反社会的な方法で入手されたものの場合は、証拠能力が否定されることも。
逆に言うと、ちょっとくらい違法であっても証拠として認められるのです。
(※これらは、個別の事例ごとに最終的には裁判官が判断するものです。弁護士によっても意見が分かれるものであることをご了承下さい。)

どこまでがセーフ?

自宅に盗聴器、カメラをしかけた
自分の家に盗聴器やカメラをしかける場合は、違法とはなりません。
夫婦間とはいえ、「プライバシーの侵害」や「精神的苦痛」を訴える人もいますが、刑事事件にはまずなりません。特に、浮気調査の場合は「著しく反社会的な方法」とはされないでしょう。
ただし、他人の家などに許可無く侵入して設置した場合は「住居侵入罪」、電話回線に盗聴器をしかけて傍受した場合は「有線電気通信法違反」「電気通信事業法違反」となります。

携帯のメール画面を勝手に撮影した
同居している配偶者の携帯を勝手に盗み見るのは、プライバシーの侵害ではありますが、証拠能力はありと判断されます。
暴力でスマホを奪い取ったり、別居している家へ不法侵入して盗み出したような場合は証拠能力が認められないことが多いです。

手紙を勝手に開封した
これは、親書開封罪になります。ですが、同居している配偶者の手紙を浮気調査として開封した場合は、証拠能力ありと判断されるでしょう。
別居している夫の家や、浮気相手の家の郵便受けから手紙を盗み出した場合は、違法性が高くなり、証拠能力が認められない可能性が出てきます。
ただ、実際は浮気相手の郵便受けから夫の手紙を抜き取ったケースで、証拠能力ありと判断された判例があります。これは、夫が妻と同居していること、浮気を隠していないことなどが考慮されたようです。

家の車をGPSで追跡した
夫など家族の自動車に仕掛ける場合は問題ありません。ただ、そもそも位置情報のみでは不貞行為の証拠としては不十分でしょう。
他人の車に仕掛ける場合は、勝手に車に工作をしたり敷地に侵入したりしたのであれば、器物破損や不法侵入で訴えられる可能性があります。
また、技適マークのついていない機材を使うと電波法違反となるので注意して下さい。
(※ある探偵社のサイトでは、「夫も妻の衛星利用測位システム(GPS)追跡装置まで駆使した調査がプライバシー侵害に当たると逆提訴し、妻も電波法違反などの罪で有罪となった。」とあります。これは台湾の判例を日本のものだと勘違いしているようです。)

携帯やPCのパスワードを勝手に突破した
携帯やスマホ、パソコンのロックを解除しただけでは不正アクセス禁止法違反にはなりません。GmailやTwitter、Facebook、mixi、Lineなどに勝手にログインした場合は不正アクセスとなり、違法です。
ですが、同居の夫婦間であれば軽い違法行為であり、証拠も認められるでしょう。とはいえ、パスワードを突破している場合は認められないだろうとしている弁護士も多く、意見が分かれるところです。
できれば他に証拠を用意した方が安心でしょう。

相手との会話を勝手に録音した
ICレコーダーなどで相手の承諾なしに会話を録音する行為は、秘密録音といいます。相手は自分に向かって話しているので、盗聴とは根本的に違いますよね。無断で録音しても違法性はありません。そのため、証拠としても問題ありません。暴力などで脅して発言させた場合は、当たり前ですが証拠にはなりません。
会話の一部だけの録音よりも、最初からの方がいいでしょう。

他に確実な証拠を用意しよう

少しくらい違法でも、浮気の疑いがあっての行為であれば不当とされにくく、証拠能力も認められるということですね。
ですが、様々な個別の状況や、裁判官によって判断が分かれるものもあります。確実に不貞を認めさせるのであれば、ホテルへ出入りする写真などの言い逃れのできない証拠を用意しましょう。探偵などの専門家に相談してください。

怪しい言動もなく、浮気の疑いも無いのに不正アクセスなどの違法行為を行なうことは、夫婦間と言えども認められたものではありません。逆に訴えられる可能性もありますので注意して下さい。
不安な方は、違法行為を行なう前に専門家に相談しましょう。

夫婦カウンセラーの資格を所有しています。探偵についての疑問や、浮気調査、夫婦関係などについてわかりやすく情報をまとめるよう心がけています。