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夫に愛想が尽きて、とにかく離婚したいと思っても、黙って離婚届を提出するのは考えものです。
普通は慰謝料や財産分与、子供がいれば親権や養育費など決めなくてはならないことがたくさんあります。
子供はいないしお金も要らないから、さっさと離婚して他人になりたいという人もいるかもしれませんが、ちょっと待ってください。
自分で夫の分の署名・捺印をして提出した場合
これは離婚届の偽造ですね。役所は偽造されたものか確認できないため、その場では受理されますが、これは大きな犯罪です。勝手に署名捺印するのは有印私文書偽造罪、それを提出するのは偽造有印私文書行使罪です。
それにより戸籍に離婚が記載されれば、公正証書原本不実記載等罪になります。
当然、警察に逮捕され刑事罰を受ける可能性があります。偽造した離婚届で離婚したのちに、他の相手との婚姻届を提出した場合は、重婚の罪にも問われます。たとえすでに別居していて、婚姻関係が破綻していたとしてもです。
離婚したことにもならない上に、罪にも問われてしまうのです。
急いで別れたい理由があるのかもしれませんが、弁護士に相談したり、調停を申し出るなどしっかりと法に則って対処しましょう。
不貞行為の証拠など、相手に離婚原因があることが証明できれば裁判所を通して強制的に離婚を認めてもらうことができます。
また、夫が行方不明で署名してもらうことが不可能でも、3年以上生死不明なら離婚できます。
ちなみに、夫に離婚の意思があり、委任された場合は、代筆して提出しても問題ありません。
ただし、あとから無効だと言われないためにも、離婚意志があったことの証拠をとっておきましょう。
過去に署名・捺印してもらい保管していた離婚届を提出した場合
なんらかの事情があり、署名捺印済みの離婚届を預かっているケースもたまにあります。
この場合は偽造の罪には問われません。
ただ、提出時に相手に離婚の意思が無ければ無効であり、公正証書原本不実記載等罪になります。
こっそり提出しても、離婚届受理通知が1週間以内に相手に届くので気づかれます。二人で提出しなかった場合や、出向いていても身分証明書が十分でなかった場合は通知される仕組みです。
相手が不服であれば、家庭裁判所に協議離婚無効確認調停を申し立てるでしょう。
また、本当に別れたく無いのであれば、離婚届の不受理申請を出している可能性があります。
これが提出されていると、離婚届は受理されません。
簡単にまとめると、署名が自筆だろうが代筆だろうが、本人の合意があれば有効だし、無ければ無効というわけです。
無理矢理、強引に署名させたとしても同じことです。ただし、偽造された離婚届であっても、後から認めれば(追認)、有効になります。
本当に別れたいのであれば、無理矢理書かせたり、黙って提出するのでは無く、しっかり納得させる必要があります。
そのためには、弁護士に依頼するのもひとつの方法です。
浮気など相手に離婚原因があるなら、ちゃんと慰謝料をもらって別れることをおすすめします。
どうしても夫婦間の話し合いによる協議離婚がうまくいかない場合は、調停、さらには裁判へと進むことになるでしょう。
調停や裁判によって婚姻を解消する場合は、離婚届に相手の署名捺印は必要ありません。相手が「うん」と言わなくても別れられるのです。
すでに勝手に提出してしまっている方へ
相手に離婚の意思がなく、勝手に提出された事実に気が付かれた場合は、相手はあなたを刑事告訴することも可能です。
追認して離婚を認めるか、離婚の取り消しを求めるかは相手次第です。
あなたとしては、なんとか追認して離婚を認めてもらうようにお願いすることになるでしょう。
親権の欄を勝手に記入した場合は、親権についてのみ無効を主張されることもあります。
いずれにせよ、早めに弁護士へ相談することをおすすめします。