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陰部のかゆみやオリモノの変化などは、性病(性感染症)の可能性があります。
夫としか行為をしていないのに症状がでたら、浮気が感染経路だと考えるのが自然です。
また、セックスレスなのに夫が性病になった場合も、浮気が原因と考えられます。
性病の診断書があれば、不貞行為の証拠となって離婚や慰謝料を請求できるのでしょうか?
性感染症と勘違いしがちな症状
性器に症状が出たからといって、すべてが性感染症とは限りません。
勘違いされやすい代表的なものをいくつか紹介しておきます。
膣カンジダ
カンジダはカビの一種で、健康な人でも体のどこにでも常に存在している「常在菌」です。
普段は悪さをすることはありませんが、ストレスや疲労などで免疫力が下がると増殖して症状がでることがあります。
性器の構造上、男性器は症状が出ることはほとんどありません。
亀頭包皮炎
男性器の亀頭、包皮の炎症のことです。
常に体にある雑菌や、カンジダなどの真菌、淋菌やクラミジアなどの細菌、ヘルペスなどのウイルスなどが原因となります。
雑菌やカンジダなどが原因の場合は、性行為とは無関係なこともあります。
簡単に言うと「バイ菌が入った」ということで、子どもでもなります。
細菌性膣炎
オリモノが臭くなったり、灰色になったりします。
性行為が引き金になることもありますが、大腸菌やブドウ球菌などの常在菌の増殖によって引き起こされるものです。
まずは検査をして病名をはっきりさせることが大切です。
これらの症状は、体調の悪いときに出るものです。
十分な休養を取り、治療しましょう。
浮気が原因とは限らない
感染していても、症状が出ていないこともあります。
子どもの頃や、結婚前に感染して気付いていなかったものが結婚後に再発したり、相手に感染して症状が出たりする可能性があります。
また、一般的に性病(性感染症)と呼ばれるものでも、性行為で感染したとは限りません。
性器ヘルペス
水ぶくれが唇にできる口唇ヘルペスからも性器に感染します。
ヘルペスウィルスは、タオルや食器などを介しても感染するため、子供の頃に親から感染している人もたくさんいます。
一度感染すると、症状が治まってもウイルスは潜伏していて、免疫力の低下したときなどに再発します。
トリコモナス症
トリコモナス原虫によって引き起こされます。
主に性行為によって感染しますが、トリコモナス原虫は水があればしばらく生存できるため、お風呂場やプール、トイレの便座などでも感染する可能性があります。
また、男性では自覚症状がないことも多く、結婚前に感染してそのままになっていた可能性もあります。
淋病(淋菌感染症)
女性の場合、感染しても症状が軽く気付かないことも多いです。
男性の場合は1週間程度でほとんどの人に症状がでます。
結婚して避妊をやめたら夫に症状が出た場合は、あなたに淋菌が潜伏していた可能性があります。
尖圭コンジローマ
ヒトパピローマウイルスによって性器や肛門にイボができます。
感染してから発症するまでの潜伏期間は、長い場合は8ヶ月に及ぶことも。
また、ウイルスに感染しても症状がでないままのこともあります。
イボを治療しても、ヒトパピローマウイルスが完全になくなるわけではなく、再発を繰り返すことも多いです。
それでも昔に感染したものの症状が今になって出たり、今になって相手に感染したりという可能性があるのです。
ここであげた病気以外の場合も、感染経路や潜伏期間などについてよく調べましょう。
処女と童貞でも性病になる可能性はある
お互いが初めての相手同士の結婚なら、性感染症=浮気と思うかもしれません。
ですが、結婚前に性行為以外で感染していた場合など、浮気ではないケースもあります。
キスによって感染
性病の原因となる菌やウイルスが、キスなどによってのどに感染することがあります。
例えばヘルペスは、通常のキスでも感染します。
梅毒も口に病変があるときはキスで感染することがあります。
他にもリスクは極めて低いものの、ディープキスなどで咽頭クラミジア、咽頭淋病、マイコプラズマ感染症(咽頭)、ウレアプラズマ感染症(咽頭)などに感染すると言う医師もいます。
結婚前に別の人とキスをしたときに、のどにウイルスや菌が感染していた可能性もあるということです。
のどに症状が出ないことも多く、結婚後に性器に感染して症状が出たという可能性があります。
オーラルセックスによる感染
オーラルセックス(口や舌を使った性器への愛撫)などの性交類似行為でも感染します。
あなたの夫が、付き合う前に風俗店でそういったサービスを受けたことがあるのかもしれません。
初めてという嘘をついていた
ソープランドで経験していたのに、あなたには童貞だと言っていたのかもしれません。
(風俗の中でソープランドには本番行為があります)
いわゆるプロの女性しか経験がないことを「素人童貞」と言うので、完全に嘘だとも言い切れません。
また、単純に童貞と言った方があなたの反応が良さそうだったから嘘をついたという場合もあるでしょう。
性感染症に感染していたことに気付かずにいた可能性も出てきます。
キスをしたことがあるかや、風俗へ行ったことがあるかなどを正直に伝え合っている夫婦は少ないでしょう。
性病の診断書は浮気の証拠としては弱い
上で説明したとおり、性行為以外での感染、過去に感染したものの再発など、浮気が関係ない可能性があります。
また多くの性感染症は、性行為ではなくオーラルセックスなどの性交類似行為でも感染します。
そのため、たとえ診断書があったとしても、いわゆる本番行為があったという証拠にはなりません。
実際に、淋病に感染した証拠があっても、性行為を認定できないとした判例(平成17年7月27日東京地裁)もあります。
ソープをのぞく風俗店では、一般的に本番行為は行われませんが、性病に感染する可能性はあります。
風俗では不貞行為とは言い切れませんし、夫婦関係が破綻しているなどよっぽどでないと離婚請求も認められないでしょう。
(参考:夫の風俗(ソープ・デリヘル)通いは不貞行為?離婚理由になる?)
とはいえ浮気の疑いが強いのは事実です
それぞれの状況や病気にもよよりますが、あなたに心当たりがなければやはり夫の浮気が原因の可能性は高いです。
夫があなたに内緒で治療していたら
夫のカバンから性感染症の薬などをみつけた人もいるでしょう。
性感染症の種類にもよりますが、治療は1~2週間程度で終わります。
普段からセックスレスであったり、感染から治療終了まで夫婦生活がなければあなたへの感染リスクはまずありません。
それならばあなたに言わないでおこうと考えたのでしょう。
その場合はやはり浮気していると考えるのが自然です。
問い詰めずに泳がせよう
検査結果や性病のクリニックの領収書などを見つけたら、すぐにでも問い詰めたくなりますよね。
でもそこで我慢です。
問い詰めれば性病に関しては認めるかもしれませんが、素直に浮気を認めるとは限りません。
シラを切ったり、逆ギレしてあなたを責めてうやむやにしようとしてくるかも知れません。
必要なのは性病の証拠ではなく、浮気の証拠です。
あなたに疑われているとなれば、大急ぎで証拠を隠滅して水面下に潜るでしょう。
グッとこらえて泳がせる必要があります。
そしてあなたにも感染の可能性があるなら、病院へ行って検査を受けることをおすすめします。
身に覚えがないのに感染したら
夫以外とキスをしたこともない、温泉やプールなどにも何年も行っていない。
それなのに性感染症になったなら、やはり夫から感染した可能性が高いです。
ただし、夫が結婚前に感染していたものの可能性もあります。
そのためたとえ診断書があっても浮気の証拠とはならないのです。
夫にも検査をすすめよう
夫からの感染の可能性が高いなら、浮気にせよ違うにせよ、夫にも検査をしてもらわなければなりません。
そのときに、浮気を疑うような物言いは控えてください。
あくまでも自然に、病院で夫の検査もすすめられたと伝えましょう。
そのときの夫の反応をよく観察してください。
やましいことがあればどうしても態度に出てしまうものです。
スマホなどでそのときの会話を録音しておいてもいいでしょう。
クラミジアや淋病などの性病は自然治癒しませんが、別の病気で処方された抗生物質を飲んだことで、知らないうちに完治する可能性もゼロではありません。
もしも夫婦共に感染していないとおかしいのに片方しか感染していないという場合は、抗生物質を飲んでいないか思い出してみてください。
また、夫だけすでに治療をしていて、あなたに黙っていた場合もこうなります。
コンドームを使っていてあなたには感染しないと思っていたのかもしれません。
基本的には泳がせて証拠を手に入れる
症状が出たら、まずは病院やクリニックで検査しましょう。
性感染症への感染のみでは、浮気をしているかどうかはわかりません。
それを伝えたときの夫の反応はどうか、最近の夫に怪しい行動はあるかなどである程度予測しましょう。
性病の疑いが出ている以上、もう浮気をしないように釘を刺す段階ではありません。
悲しいですが泳がせて証拠を入手するのが賢い戦い方です。
メールなども状況証拠にはなりますが、確実に相手と別れさせたり、離婚して慰謝料を請求したりするなら、もっと決定的な証拠が必要です。
夫の行動パターンを把握して、怪しい日時に探偵に尾行してもらうのがいいでしょう。
探偵というとお金がかかるイメージがあると思いますが、日時を絞った短期決戦ならそれほど高くはなりません。