離婚できない?一回だけの浮気と不貞行為

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一回の浮気法律には、浮気や不倫といった言葉は定義されていません。
いわゆる浮気・不倫のことは、「不貞行為」と言います。

具体的に不貞行為とは、配偶者以外との性交渉のことです。つまりキスなどでは、不貞行為とはなりません。

デートだけでも立派な浮気だという気持ちは当然ですが、ここでは「浮気=不貞行為=肉体関係」として述べます。

肉体関係無しの浮気の場合は、次のページを参考にしてください。
(参考:プラトニックな浮気(不貞無し)で慰謝料請求できる?

1回だけの浮気は許すべきなのか

「本当に愛してるのはお前だけだ」「一度魔が差しただけで、もう二度としない」
夫にどんなに謝られても、すぐに許すことはできませんよね。本当に初めてなんだろうか。今は反省していても、また浮気を繰り返すのではないだろうか。そんな不安でいっぱいですよね。
気持ちとしては、100回でも1回でも、大きなショックには違いありません。悔しくて悲しくて、苦しくて、どうしたら良いのか分からない。まだ浮気が発覚したばかりなら、しばらくは何も考えずに心が落ち着くのを待ちましょう。

こうするべきだという「正解」はありません。このページでは、不貞行為が一度の場合の慰謝料や離婚について解説するので、少しでもヒントになればと思います。

一度の不倫相手に慰謝料を請求できるか

夫が不貞行為を行った場合、一回だけだとしても、相手の女性に慰謝料を請求することができます。

ただし、継続的な関係で無い場合、慰謝料の金額は安くなります。結婚歴や子供の有無などにもよりますが、あなたと夫が離婚しない場合は50万円前後。離婚する場合でも、100万円前後が限度でしょう。

とはいえ、請求すれば必ず支払われるというものではありません。相手が認めない場合は、ラブホテルへ出入りする写真などの言い逃れのできない証拠が必要になります。

路上でのキス写真は直接的な証拠にはなりません。話し合いで解決しない場合は、裁判で白黒つけることになるでしょう。

また、不貞行為はあなたの夫と浮気相手の2人による不法行為です。求償権といって、浮気相手が慰謝料の半額を、あなたの夫へ請求することができます。

酔った勢いで、初対面の相手とのワンナイトラブでは、夫が既婚者だと相手が知らない事もあるでしょう。その場合は慰謝料を請求できません。夫が独身だと偽ってナンパした場合も同様です。
(参考:離婚しなくても慰謝料請求できるか?

一度の不貞行為を理由に離婚することはできるのか

「不貞行為」は、裁判で認められる離婚理由の1つです。法律で何回以上などと回数が定められているわけではありません。(民法770条1項1号)そのため、一度だけだとしても、離婚理由として認められます。
ですが裁判所は、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認めるときは、離婚の請求を棄却することができます。(民法770条2項)

つまりは、裁判所が円満な家庭に戻れそうだと判断すれば、離婚が認められないんです。実際は、継続的な不貞行為でなければ、離婚するのは難しいと言われています。

一度の浮気で本人が深く反省している、それ以外には良い夫であり父親であるような場合、復元が可能と裁判所が判断するケースが多いということです。
ある弁護士は「1回の不貞で離婚が認められたという判例を見たことがない」と言っています。

ただし、一度の不倫によって夫婦の信頼関係が崩れ、夫婦としての生活が修復不可能なほど破綻している場合は、「その他婚姻を継続し難い重大な事由(民法770条1項5号)」に当てはまり、離婚が認められると考えられます。

ホテルへ行ったのは一回分の証拠しかないけれど、継続的な浮気だと分かっている場合は、その根拠となる事実をできる限り請求原因や陳述書に記載するといいでしょう。

また、話し合いによる協議離婚なら、裁判所の判断に頼る必要もありません。優秀な弁護士に依頼すれば、一回分の証拠でも十分有利に離婚できる可能性は高いです。

別れずに様子を見るのもひとつの方法です

念書・誓約書を書いてもらう夫が反省しているようなら、しばらく様子を見てもいいでしょう。

夫が絶対に離婚したくないと考えているなら、すぐに別れるのは難しい。小さな子供がいるなら、なかなか決断もできませんよね。

それなら一度、再構築へ挑戦するのもいいかもしれません。それでもダメだったときは、そのときに離婚へ進めばいいんです。

別れずに再構築を目指すための条件として、浮気したことを認める念書を夫に書いてもらいましょう。今度浮気した場合の慰謝料の金額や、離婚の条件などを記入してもいいでしょう。

実際は、夫婦間での契約は一方的に取り消すことが可能(民法第754条)です。それでも、夫に自分のしてしまったことを反省させ、次に浮気をしたらどうなるのかをリアルに感じさせることができるでしょう。

また、契約を一方的に取り消すことができるのは形式的にも実質的にも婚姻が継続されている間のみです。再構築を目指している間は、夫から契約無効を訴えてくることはまずないでしょう。婚姻関係が破綻した後は、取り消すことはできません。

念書・誓約書とあわせて、記名・押印済みの離婚届を預かってもいいですね。「いつでも離婚できる」と思うことで、辛いときをのりきるお守りになるでしょう。

ただし、勢いで提出してしまったり、夫に勝手に出されたりしないよう注意しましょう。自分の記名をしておかなければいくらか安心ですが、役所に離婚届不受理申出を提出しておくという方法もあります。そうすると、取り下げない限り離婚届が受理されません。

本気で再構築を目指すなら、何度も浮気のことを持ち出して責めるのは御法度です。最初によく話し合った後は、お互いに歩み寄らなければ夫婦関係は回復できません。
精神的にも落ち着いてきて、もう大丈夫だと思っていても、急に浮気のことを思い出して辛くなることもあります。この突然のフラッシュバックに悩まされる人は多いです。夫婦でカウンセリングを受けるなど、解決へは長い時間がかかるでしょう。

とりあえず結論を先延ばしにしてもいいんです。「先延ばしにする」というのも立派な決断です。
一緒に居るのが辛かったら、まずは別居して暮らしてみましょう。その間に、離婚しても暮らしていける状況を整えてもいいでしょう。

本当は継続的な浮気かも?
離婚を裁判で争うときに、浮気を立証しなくてはならないのは訴える側であるあなたです。一回の証拠しかなければ、夫は「今回が初めてだ」と言うでしょう。慰謝料をもらって離婚したいと思うなら、夫を責めずに泳がせることも考えてください。浮気に気づいたことも覚られないようにするのがベストです。その間に、確かな証拠を手に入れることができれば、有利に離婚することができるでしょう。

また、あなたには「別れた」と言いながら、水面下で交際を続けていたというケースも多いです。この場合は、怪しい行動があったとしても、なかなか確証を持てないのが辛いところです。それだけ夫もバレないように警戒しているからです。この場合は、探偵へ調査を依頼することも視野に入れた方がいいでしょう。水面下での不倫継続が発覚したら、さすがに再構築はあきらめた方がいいかもしれません。

夫婦カウンセラーの資格を所有しています。探偵についての疑問や、浮気調査、夫婦関係などについてわかりやすく情報をまとめるよう心がけています。